家庭防災編では、阪神・淡路大震災で実際に経験したものの中で、家庭内で役立つ物を紹介していきます。これを参考にして「わが家の防災対策」について考えて見ましょう。
窓や食器棚、扉、照明など暮らしの中には、以外と多くのガラスや陶器などが使われています。地震での揺れで壊れて飛散する可能性があり、危険な凶器と化してしまうことがあります。また、いざという時に歩行の障害となり、逃げ遅れの原因にもなります。
窓ガラスなどには市販のUVカットフィルムや結露防止フィルムなどを貼れば、震災対策にもなり、一石二鳥です。最近では、地震対策用のガラス飛散防止フィルムも市販されているようです。
もしガラスシートを貼る前に地震などで家の窓が壊れて飛散した場合には、歩行用としてスリッパやサンダルが有効です。
地震でライフラインが途絶することは、この阪神大震災で思い知らされましたが、特に断水には困った方が多かったようです。日頃から風呂の水を捨てずに残しておくのも、家庭でできる一つの危機管理と言えます。
飲料水を確保する手段として、トイレのタンク水を利用する方法があります。この水は常時入れ替わっているので、そのまま臨時的に飲料水として使える場合があります。また、風呂の水は断水時に洗濯やトイレ用水などの生活用水として、あるいは火災時の消火用水として充分に有効活用できるものです。
また、節水対策として食器の上にラップを引いて食事を摂ることにより、食器を洗う水が節水できます。(写真参照)
地震発生後は停電になり、全く明かりがありません。日常生活での夜は照明を消しても、街灯や広告灯などで以外と明るいことがありますが、地震停電は都市全体が停電となるので全て明かりが消滅します。そのため異様な暗さになってしまいます。そういった状況下で行動しなければなりませんから、懐中電灯は最優先の必要防災グッズと言ってよいでしょう。手の届くところに備えて置きたいものです。
また、目覚まし用置時計などは枕元に置いていることが多いですが、この中には文字盤用ライトがついているものがあり、この明かりだけでも部屋の中を歩ける場合もあります。
飲料水や保存食料については、日頃からミネラル水や缶詰、レトルト食品などを1か月分位を余分に買い置きし、新旧を回転させて使用すれば、災害時の非常食として役立ちます。 また、災害時などに飲料水の確保に協力していただくため、井戸を登録する制度も実施しているそうです。
懐中電灯で部屋全体を照らすには、天井にシワをいれたアルミホイルをかざします。そこへ下から懐中電灯で照らすと乱反射して、部屋全体が以外に明るくなります。
また、アウトドア用品はサバイバルには非常に活躍します。これをRV車に積んでおくと一種のシェルターの役割を果たすことができます。冷暖房、照明、ラジオ(テレビ)、仮眠場所などが確保できるだけでなく、非常食も積んでおけば、万全となります。日頃から、都市生活を離れ、ガス、水道、電気の無いキャンプ生活をレジャーで実践しておくのも、防災対策の1つになります。
震災時にマイカーにこうしたアウトドアグッズを積んでいた人は、これを利用して公園や小学校にテントを張り、サバイバル生活をした方が多かったようです。
家具の転倒は地震の揺れ方向によって大きく左右されます。安全のためにもこれらに加えて、エル字型金具でネジ止めしておく必要があります。多くの方が家具でケガをしています。
また一つの対策として、タンスや食器棚などの大型家具を置く場合に、新聞紙で包んだかまぼこ板を挟み、約2、3cm高くなるようにして全体を壁側へ傾斜させておく方法もあります。
食器棚は食器の重さでかなりの重量になっていますので、それが地震で振動すると、よほどしっかりとした転倒防止金具と木ねじで固定しておかないと金具が抜け落ちて倒れてしまうようです。
食器棚の戸は観音開きでなく、引き戸のほうが地震に対して強いようです。また、使わない食器はできるだけ箱にしまうといいですね。それでも観音開きの食器棚をご利用の方は、下の図のように扉が開かないようにフックをつけるなどの対策をとりましょう。
震災で家屋の倒壊を免れ、そこで生活できる場合は、冷蔵庫が備蓄庫に早変わりします。もちろん停電で保冷機能は失いますが、冬場であれば救援物資が届くようになるまでの2~3日間は日頃の内容物で何とか食べつなぐようにします。
また、製氷室の氷は解かして飲料水として利用できます。できれば、常時ミネラルウォーターなどを冷蔵庫内でローテーションしながらストックしておくと、非常時に役立ちます。
非常持出袋を準備しているご家庭は、多くなってきましたが、そのほとんどが、押入れ、戸棚といったところに保管しているようです。巨大地震は容赦なく家具を倒し、家を破壊します。せめて、懐中電灯だけは手のとどくところ、また、非常用持出品は、家具が転倒しても取り出しやすいところ(例えば、マイカーのトランクなど)にそれぞれ保管することが必要です。
また、どうにか非常持出袋を探し当てても、避難するときは家具や家電製品、ふすまなどが大きく移動し、家の中の配置や間取りがまったく変わってしまうこともあるので、方角などをしっかりと頭に入れて脱出、避難することが大切です。
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